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手形が使いにくくなった後の資金繰り:2026年10月時点で起きていることと代わりの手段

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紙の手形は、法律で一律に廃止されたわけではありません。ただし2026年10月の時点で、大手銀行などでは新しい手形を振り出せなくなり、中小受託取引適正化法(取適法)の対象となる取引では、発注側から受注側への手形払いが禁止されています。2027年3月31日には、金融機関の間で手形を交換する仕組みも終わります。

この記事では、いま起きていることを3つに分けて整理し、手形を受け取ってきた側と、手形で支払ってきた側のそれぞれについて、代わりの手段と相談先をまとめます。

このページの内容(5項目)

いま起きている3つのこと

紙の手形をめぐる、3つの日付
  1. 取適法の対象となる取引で、手形払いが禁止にこの日以降の発注に適用
  2. 大手銀行などで、新しい手形の振出しが最後に期限は金融機関によって違い、決めていない金融機関もあります
  3. 2026年10月(この記事を書いた時点)
  4. 金融機関の間で手形・小切手を交換する仕組みが終了この日の後も、手形がただちに無効になるわけではありません

手元の手形を現金にできるかどうかは、金融機関によって扱いが違います。受け取る前に、自分の取引金融機関に確かめてください。

3の後も、手形がただちに無効になるわけではありません。全国銀行協会は、2027年4月以降は金融機関どうしが個別にやり取りする形になり、取り扱うかどうかは金融機関の判断で変わりうると説明しています。

手元に手形がある、またはこれから受け取る場合

金融機関によって扱いが違います。受け取る前に、自分の取引金融機関に確認してください。大手銀行の公表例は次のとおりです。

確認する点は3つです。

手形を受け取ってきた側(受注側)

取引が取適法の対象かどうかを確かめる

対象の取引では、発注側は、物品などを受け取った日から60日以内のできる限り短い期間内に支払期日を定め、その日までに、受注側が代金の全額を現金で受け取れる方法で支払わなければなりません。手形だけでなく、電子記録債権や一括決済方式(発注側・受注側・金融機関の三者の取り決めにもとづく支払いの仕組み)も、支払期日までに満額の現金を受け取りにくいものは禁止です。振込手数料を受注側に負担させて代金から差し引くことも、合意の有無にかかわらず違反とされています。

対象になるかどうかは、取引の内容と、資本金または従業員数で決まります。取引の内容を指す言葉の意味は、次のとおりです(公正取引委員会・中小企業庁のテキスト6〜18ページの説明をもとにした、短い言い換えです)。

製造・修理・作成の委託は、発注側が売る物や、請け負った物についての委託が中心です。発注側が自分で使う物の委託は、表の下の説明のとおり、一部だけが対象です。

建設工事の下請けは、対象から除かれています。

取引の内容発注側(法人)受注側
製造委託、修理委託、特定運送委託。情報成果物作成委託・役務提供委託のうち、プログラムの作成、運送、物品の倉庫での保管、情報処理資本金3億円超資本金3億円以下の法人、または個人
製造委託、修理委託、特定運送委託。情報成果物作成委託・役務提供委託のうち、プログラムの作成、運送、物品の倉庫での保管、情報処理資本金1,000万円超3億円以下資本金1,000万円以下の法人、または個人
製造委託、修理委託、特定運送委託。情報成果物作成委託・役務提供委託のうち、プログラムの作成、運送、物品の倉庫での保管、情報処理従業員300人超従業員300人以下の法人、または個人
情報成果物作成委託、役務提供委託(プログラムの作成、運送、物品の倉庫での保管、情報処理を除く)資本金5,000万円超資本金5,000万円以下の法人、または個人
情報成果物作成委託、役務提供委託(プログラムの作成、運送、物品の倉庫での保管、情報処理を除く)資本金1,000万円超5,000万円以下資本金1,000万円以下の法人、または個人
情報成果物作成委託、役務提供委託(プログラムの作成、運送、物品の倉庫での保管、情報処理を除く)従業員100人超従業員100人以下の法人、または個人

役務提供委託は、発注側がほかの者に提供する役務の委託に限られます。発注側が自分で使う役務の委託(自社工場の清掃を清掃業者に委託する場合など)は、対象になりません。物品の製造・修理や情報成果物の作成でも、発注側が自分で使うものの委託は、発注側がそれを自社で業として作っている(直している)場合に限って対象になります。

対象の取引なのに、手形での支払いや、60日を超える支払期日を求められている場合は、下の「相談先」に相談できます。

取適法の対象外の取引:2027年4月から、製造委託などに支払告示がかかる

経済産業省(中小企業庁)と公正取引委員会の2026年9月2日の発表によると、2027年4月1日から、取適法の対象外の取引でも、製造委託などの代金を、納品などを受けた日から数えて60日を過ぎても支払わないことが、独占禁止法にもとづく告示(支払告示)で禁止されます。資本金や従業員数の要件はありません。ただし、正当な理由がある場合と、取引上の地位が発注側に対して劣っていないと認められる受注側との取引は除かれます。それまでの間は、対象外の取引で長い支払期日が残ることがあります。

支払告示の対象は、取適法と同じ「製造委託等」です。汎用品の売買と、取適法の「製造委託等」に当たらない委託(発注側が自分で使う役務の委託など)は、2027年4月以降も告示の対象になりません。建設工事の下請けも対象に入らないと、当サイトは読んでいます。その根拠と、日数の数え方、対象外の取引で支払条件の見直しを求めるときの材料は、入金サイトが長いときの対策にまとめています。

入金を待てないときの手段

これまで手形を割り引いて早く現金にしてきた会社や個人事業主にとって、代わりになる手段は次のとおりです。費用と、使える条件が違います。

手段仕組み確認すること
発注側との支払条件の見直し支払期日を短くしてもらう、振込に切り替えてもらう取適法の対象なら、発注側は、受領から60日以内に定めた支払期日までに、満額を現金で受け取れる方法で支払う義務がある
でんさい(電子記録債権)の割引・譲渡取引先が発生させたでんさいを、支払期日の前に金融機関で割り引く、または別の支払いに回す利用には窓口になる金融機関への申込みと審査、契約が必要。料金は窓口の金融機関が決めている。割引を受けられるかどうかと条件は、金融機関に確認する
金融機関の融資・当座貸越入金までのつなぎの資金を借りる審査と手続きに日数がかかる。条件は金融機関ごとに違う
ファクタリング(売掛債権の買取)入金待ちの売掛債権を、支払期日の前に手数料を差し引いて買い取ってもらう利息制限法が上限を定めているのは金銭の貸し借りの利息で、債権の売買の手数料はその対象に含まれていない。見積もりの数字で手取り額を確かめる

ここでいうファクタリングは、受注側が自分の売掛債権を、自分で選んだファクタリング事業者に売る取引です。公正取引委員会や中小企業庁の資料で、支払手段として出てくる「ファクタリング」は、発注側・受注側・金融機関の三者の取り決めにもとづく支払いの仕組み(一括決済方式のうちのファクタリング方式)で、別のものです。

ファクタリングを検討する場合は、手取り額の計算機で費用の重さを確かめ、契約書の確認の仕方を偽装ファクタリングの見分け方で確認してください。手形の割引に比べて費用が重くなることがあるため、上の表のほかの手段を先に検討することを勧めます。

手形で支払ってきた側(発注側)

手形から振込などの現金払いに切り替えると、これまで支払期日まで手元に残っていた資金が、先に必要になります。中小企業庁と公正取引委員会は2026年9月2日に、支払期日の短縮に取り組む事業者からの資金繰りの相談に丁寧に応じ、きめ細かな支援に努めるよう、金融機関に要請しています。

東京商工リサーチが2024年4月1〜8日に行ったアンケート(インターネット調査、有効回答4,501社)では、手形や電子記録債権の支払期限が60日以内になった場合の影響について、支払う立場では回答1,857社のうち39.6%がマイナスの影響を受けそうだと答え、回収する立場では回答2,705社のうち56.0%がプラスの影響を受けそうだと答えました。

支払う側が使える手段は次のとおりです。

相談先

2026年10月2日時点で、各機関の公式ページで確認した内容です。連絡の前に公式ページをご確認ください。

窓口連絡先と受付時間相談できること
公正取引委員会「不当なしわ寄せに関する取適法の相談窓口」0120-060-110。10:00〜17:00(土日祝日・年末年始を除く)手形払いや支払遅延など、取適法にかかわる相談
取引かけこみ寺(2026年1月に「下請かけこみ寺」から改称)0120-418-618。平日9:00〜12:00、13:00〜17:00(土日・祝日・年末年始を除く)取引上の悩みの相談。無料で、匿名でも相談できる。全国48か所

出典

更新履歴

困ったときの相談先を、状況別にまとめた一覧があります

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